ザ・ヴィンテージハーレー・ナックルヘッド
初めてのビッグツインエンジン・ナックルヘッド
1936年〜1947年 ウィルアム・S・ハーレー渾身の一作
そのヘッドの形状は、握った拳のようにゴツゴツしたシルエットだったため、ナックルヘッドと呼ばれるようになった。エンジンの型式はOHV(オーバーヘッドバルブ)クランクと直結したカムシャフトが、プッシュロッドとロッカーアームを介してヘッドに設けられたバルブを開閉させる。伝統あるハーレーダビッドソンのOHVの起源となるのがこの「ナックルヘッド」だ。
OHVはもともと英国で開発されたエンジン機構。サイドバルブと大きく異なるのはオイルの循環方式で、エンジン上部にロッカーアームやバルブなど駆動パーツが設けられたことにより、上に向かうオイルの流れが必要になった。オイルポンプから一気に拳状のロッカーカバー内に送られたオイルは、ヘッド内部を循環してエンジンケース内部に戻ってくる。
カムシャフトは、今までおのおのが独立していた4本のバルブをリフトしていた4個のシステムだったが、ナックルヘッドはセンター位置に1個というシステムになった。このワンカムシステムはビッグツインの基軸のひとつとして1999年まで続いた。
ライバルは「インディアン」・・・当時、ウィリアム・S・ハーレーはそれまでの「サイドバルブエンジン」で充分ライバルのインディアンに対抗できると思っていたが、世界が次々とハイスピードを求めるようになったため、新しいエンジンの開発に至ったとされている。
当時の車名は「610HV」となっており、後年ユーザーの間でナックルヘッドの愛称ができた。
歴史とモデル特徴
ナックルヘッドは、全部で4種類ある。E、EL、F、FL、で「L」は圧縮比の違いがある。
EとELは圧縮比(E:6.5 EL:7.0)出力40ps/4500rpm、最高速度150km/h
FとFLは圧縮比(F:6.6 FL:7.0)出力48ps/5500rpm、最高速度160km/h
シリンダーヘッドは鉄製、ロッカーアームのカバーはアルミでできている。
シフトパターンの違い
1936年〜1938年・シフトパターンが前(ハンドル側)から「1→N→2→3→4」
1939年・シフトパターンが前(ハンドル側)から「1→2→N→3→4」
1947年〜1964年・シフトパターンが前(ハンドル側)から「4→3→2→N→1」
細かな変化等
- VLから受け継いだテールランプは1938年まで使われていた
- 1939年から1946年まではビーハイブ(蜂の巣)型のテールランプが使われていた
- 1947年はデュームストーン型のテールランプが使われた
- ドライヤー型のエアクリーナーは1940年〜丸型に変更された。ドライヤー型のエアクリーナーにはフィルターが入っていない
- ELモデルには、フラッシュゴートンタイプのマフラーが装備されている
- FLモデルから、フィッシュテールのマフラーとなる
- ツールBOXは1939年までは、角型を採用
- 1940年から、ツールBOXがディアドロップ型に変更された
- 1939年から、フロントフェンダーにマスコットがつけられた
- 1947年から、フロントフォークのダンパーが油圧式に」変わった
- 1947年のタンクエンブレムはこの年のみのエンブレムが使われてる
- ステップボードは、1939年までは長方形のステップボード
- 1940年以降のステップボードは半月型に変更された
- 1941年FLがデビューするに伴い前後のホイールが16インチへと変更になった。以降FLモデルは前後16インチが定番となった
各モデルの発売年
1936年・1000cc、モデルE、ELが登場
1941年・1200cc、モデルF、FLが登場
歴史との関係
1941年・第二次世界大戦に突入したため、民間のモーターサイクルの製造が完全にストップした
1945年・第二次世界大戦が終結、11月に民間のモーターサイクルの製造が再開した
完全にストップしたとあるが、実際には44年に288台、45年に1017台製造されている
41FL KNUCKLE-HEAD
全長:2330mm
全高:1100mm
ホイールベース:1500mm
シート高:770mm
乾燥重量:250kg
排気量:1200cc
ボア×ストローク:87.3×100.8mm
圧縮比:7.0:1
最高出力:50hp
トランスミッション:4速ハンドクラッチ
クラッチ:乾式多板フットクラッチ
燃料タンク:14.3ℓ
バッテリー:6V
始動方式:キック
サスペンション:Fスプリンガー、Rリジット
最後に
ガソリンを送り込み、上視点を確かめ、キックペダルを踏み下ろす。エンジン始動の所作は「儀式」と呼ばれている。
フレームは「リジット」
フロントフォークは「スプリンガー」
ハンドシフト・フットクラッチ
スタイル、乗り味、どれを取っても「ヴィンテージ」と言えるモデル。
特に、前後18インチホイールを履く30年代の前期モデルは、ヴィンテージと言うより「アンティーク」と呼ぶにふさわしい。
ハーレーダビッドソン初のOHVエンジン「ナックルヘッド」は、1947年にその役目を終え、次世代エンジン「パンヘッド」にそのバトンを渡すのであった。
ナックルヘッドから進化したOHVエンジン「パンヘッド」の記事はこちら↓↓↓
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