ハーレーダビッドソン・フラットヘッドってどんなハーレー?

ハーレーダビッドソン

ハーレーダビッドソンの基礎を作ったエンジン

1929年〜1973年

シンプルで丈夫なサイドバルブエンジン

シリンダーヘッドの上が平(フラット)なことから、「フラットヘッド」と呼ばれている

もともと、アメリカの4輪メーカーが開発したこのエンジン機構は、バルブ位置が燃焼室よりしたとなるシリンダーボアの真横にあることからサイドバルブと名付けられた。

まずは、前進である通称「オホッツバルブ」について見てみましょう。

OHIV方式とは?

当初、ハーレーダビッドソンのVツインエンジンは、吸気はバルブのない負圧式で、排気に関してのみバルブがシリンダー横にあるサイドバルブ方式と言うシステムだった。

そして1921年には、吸気がOHV(オーバーヘッドバルブ)で、排気がサイドバルブ方式と言うOHIV(オーバーヘッドインへレーションバルブ)方式、通称「オホッツバルブ」が採用された。

このエンジンは「Fヘッド」と呼ばれ、

1000ccのJモデル

1200ccのJDモデル

の二つがラインナップされた。

吸排気ともにサイドバルブ方式を用いたフラットヘッドエンジンは、このFヘッドに変わるハーレーダビッドソンのエンジンとして、1929年に登場した。

フラットヘッドの特徴

フラットヘッドの特徴は、以降のOHVエンジンと比較するとパワーこそ無いものの、扱いやすく、また部品点数が少ないため、メンテナンス性や耐久性に優れているとされている。これは、第二次世界大戦で、WLの軍用モデル「WLA」がアメリカ軍に採用されていたことからもわかる。

クランクと直結する並列した4個のカムが、2気筒おのおのに1個ずつ吸排気用のバルブが設けられた計4個のバルブを直接開閉させる方式。これは、後に開発されたスポーツスターに継承された4カム式と呼ばれるもで、未だに受け継がれている。

エンジン上部に駆動パーツが無いためヘッド方向へのオイル循環機能はなく、回転するフライホイールがオイルをかき上げてシリンダー内壁やピストン裏側に付着させる簡素な上方へのオイル循環冷却方式のみだが、パーツ構成が少ないことから故障が少なく丈夫なエンジンだと未だに語り継がれている。

経済性に優れたこのフラットヘッドは、ハーレーダビッドソンの主要なモデルのエンジンに採用されなくなっても、三輪車のサービカー用のエンジンとして1973年まで活躍していた。製造されていた期間は45年間で、これはハーレーダビッドソンの歴代エンジンの中でも最も高寿命なエンジン。

フラットヘッドは、今後登場するビッグツインやスポーツスターなど、全てのハーレーダビッドソンのルーツに位置する。

モデルと歴史

最初にフラットヘッドを搭載した、Dモデル。

Dモデル 1929年

  • 排気量750cc
  • ボア×ストローク 69.85×96.84

V、VL 1930年〜1940年

  • 排気量1200cc
  • ボア×ストローク 87.31×101.6
  • 日本製ハーレー「陸王」の元になったモデル
  • フレームは「シングルクレードル」で耐久性に問題があった
  • ナックルヘッドが好評だったので1941年で生産終了

サービカー 1932年〜1974年

  • 750cc
  • G、GA、GD、GEがある

1935年 日本の三共が「陸王」の販売を開始

U、UL、UH、ULHモデル 1936年〜1945年

  • U、 UL 排気量1200cc
  • UH、ULH 排気量1340cc
  • 「L」は高圧縮
  • ナックルヘッドの部品を多く採用している
  • ナックルヘッドの外装にサイドバルブエンジンが融合した形となった
  • トランスミッション4速化された。3速と4速モデルがある
  • フレームは「ダブルクレードルフレーム」ナックルヘッドと同じ
  • オイルタンクはシート下に設置
  • シリンダーヘッドが大きくフィンが深くなっている
  • サイドカーモデルもあり

W、WL、WLA 1937年〜1952年

  • W、WLは市販モデル
  • 750cc
  • 「W」は新しいオイル循環システムを採用したことでつけられた
  • WLは1952年にKモデルとなり、後のスポーツスターの基礎となる
  • WLAは軍用モデル 生産台数は約9万台、「A」はアーミーのこと
  • フレームは「シングルクレードルフレーム」と呼ばれ、ネックから下に伸びるパイプが1本のリジッドフレーム
  • ガソリンタンクは分割式で、左側がガソリン、右側がエンジンオイル。下にはバッテリー(6V)があるのみ

1940年〜1951 WR

  • WLDRと共にレーシングモデルに位置する
  • WRモデルは当時のレースシーンを席巻(せっけん)するほどの高性能

1952年〜1956年 Kモデル

  • 750cc
  • K、KH、KHKがある
  • エンジンとミッション」を一体化」したモデル

Kモデルの関連記事はこちら↓↓↓

ハーレーダビッドソン・ショベルヘッドを知ろう【スポーツスター編】

1964年 サービカーにハーレーダビッドソン初のセルフスターター搭載

1974年 サイドバルブ生産終了

小排気量のWモデルはベビーツイン、大排気量のモデルをビッグツインと呼んでいる

まとめ

Vモデル 1200cc 1930〜40年 10年間製造 シングルクレードル

Uモデル 1200cc UHモデル 1340cc 1936〜45年 9年間製造 ダブルクレードル

Wモデル 750cc 1937〜52年 15年間製造 シングルクレードル

Kモデル 750cc 1952〜56年 4年間製造 Kフレーム

サービカー 750cc 1932〜74年 42年間製造

最後に

第二次世界大戦を跨いで生産されてきたフラットヘッド。戦前のV、Uモデルは生産台数が少なく希少価値が高い傾向にあります。また軍用で活躍したWLモデルは、フラットヘッドの中でも特に丈夫だと言われています。そして、世界のモーターサイクルに対抗するために、Kモデルへ。

42年間と言う、ハーレーダビッドソンでは最長期間製造されていたモデル。フラットヘッドはその役目を終え、後継モデルである「ナックルヘッド」にバトンを渡した。

次世代エンジンナックルヘッドについての記事はこちら↓↓↓

ハーレーダビッドソン・ナックルヘッドってどんなハーレー?

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